【加藤から一言】
優しさを惜しみなく降らす彼女に、思わず涙が溢れる時がある
何故こんなに愛しいのだろう
***
フルーツバスケット 17 (17)
高屋 奈月 / 白泉社
スコア選択: ★★★★★
”私、心配になるの。
そうして人の気持ちを受け止めて、
大切にして、背負って、背負って、背負って、
いつか
潰されてしまうんじゃないかって。
潰されてしまったら、笑顔も消えてしまうんじゃないかって。”
二十歳になっても、未だに発売を楽しみにしている漫画がいくつかある。中学生の時と何ら変わらない、新刊を手に取ると時のあの気持ち。それを楽しみに、今は生きているといったなら、それは大袈裟だろうか。(大袈裟ですよ加藤さん)笑
そんな漫画の一つである、フルーツバスケットの書評。いってみよう!
悲しいときー!(いつもここから)キャラクター紹介で軽くネタバレされたときー。「はぅあ!!何事?!」って叫んだときには後の祭り。まさか、キャラクター紹介でフルバ最大の謎を知ることになろうとは。トホホです。私と同じ思いをした人もきっといるはず。
□以下ネタバレ(加藤レンジャー的あらすじ)
ある日ぐれさんの所に一通の電話が。それは、ぐれさんを「兄」と慕う、クレノからのもので、その電話の直後、ぐれさんは透くんとクレノが出会うように仕向ける。
透くんと会ったクレノは、草摩の秘密を話し出す。
①自分は呪いが既に解けていること。
②アッキーには母親(レン)がおり、互いに憎みあっているということ。
③アッキーは女ということ。
④自分は泣いているアッキーを置いて、ありさのところにはいけないということ。
たくさんの秘密を聞き、クレノが去った後、透くんはなんかヤバ気味。 そんな時、正義の味方花ちゃんが現れる。花ちゃん、魚ちゃんの励ましもあり、透くんはどうにか元気を取り戻した。
途中、キョンキョンと透のラブラブとか、マチマチとゆきくんのホノボノとかがあるけれど、それは置いておいて。
フルーツバスケット最大の謎な人物、ぐれさんの事が明らかに。ぐれさんは、アッキーを愛しているからこそ、透くんを使って”何か”を計画している様子。ぐれさんの最終目的は、どうやらアッキーを手に入れる事の様。そしてどうやらアッキーもぐれさんのことが激ラブらしく。けれども激しく交差する互いの思い・・・!〔好きだからこそ〕って感じです。だって好きな人があまりにも自分勝手すぎるんだもの(お互い)
やばいよ、私ぐれさん大好きだよ。あの詩的な雰囲気がたまらない。真面目な台詞が美しくて、まるで韻を踏んでいる様。あわわわ、(二十歳の女が何を言っているのだろう・・)
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真面目に語ります。「 わたしの事 」
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そんじょそこらの哲学書や小説を読むよりは、フルバを1巻から読んでいった方が、学ぶことがあるのでは?という位、”心”に重点を置いて書かれたマンガ。もちろん花と夢での連載だから恋愛は有るわけだが。他の年代の人が見ても、素直に楽しめるのではないかと思う。
私にもしも将来子供ができたなら、この本を読ませてあげたい。あと、『氷の魔物の物語』これも読ませてあげたいのだが、それはまた別のお話。
私にはクレノさんの気持ちが解る。私の傍にも、突き放せない子が居る。
私は四年前、彼女がクラスのトラブルで大変だった時、『誰が彼女を嫌っても、誰が彼女を見捨てても、私だけは見捨てないで居よう。』そう誓った。それからの四年間、私は生活の殆どの時間、彼女の傍に居る(寮なので)。アップダウンの激しい性格と、寂しがり屋の彼女を可愛いと思うし、我侭や気性の激しさも含め、私は彼女を受け入れている・・・『そうだ彼女を受け入れられない人は、心が狭いのだ』等と、そんな戯けた私論で。ここではその子の事を、姫と呼ぶことにする。美しく我侭な彼女にとって、「姫」こそが相応しい名前だと思うからだ。
それを私の幼馴染AIちゃん(というか地元ヤンキー)に話したとき、言われたことがある。
「あんたの優しさは時々薄っぺらい。それが本当に優しさなのか解らないね。言っとくけど、私に対してその優しさ向けたら縁切るよ」
メッタ切りされた。AIちゃんは私の事を十分に理解してくれているし、だからこそ私は彼女に、何かに付けて助言を求めることが多い。どうしたらいい?と聞いたところ、予想通りの答えが返ってきた。
「さー。私はそんな優しさ考えたこともないから解らない。自分で考えれば?」
それが彼女の優しさであり、私とは正反対の彼女の優しさが、私は心底好きだ。
今朝も、姫と揉め事があった。それは昨日、私が寝ていて彼女の話を聞かなかったからというものだった。「もう加藤さんには何も話さない」そう言われた。昔ならば、『ああどうしよう、私は何をすればいいのかな』等と真面目に考えていた筈なのに、今私の中は不思議なことに、とても穏やかで落ち着いている。彼女が私に対して怒るたび、段々と私の心は冷めていくのが解る。彼女の冷たさに、なれてしまっているのだ。私は自らの楽しさと引き換えに、多少の事で揺るがない心を手に入れることが出来た。四年前の私に問いたいことがある。これが私の本当に望んだ結果だろうか。
けれども「彼女が私を必要としなくなる日まで」と、昔誓った気持ちは、今も変わらずこの胸の中にある。私の事をもう必要としなくなるその日まで、彼女の傍に居てあげようと思う。
あの時の私に足りなかったこと。それは冷静になって先を見通すこと。
今の私に足りないこと。それは”本当の優しさ”を手に入れること。
-----------------それが出来ず、今も私は、立ち止まっている。
AIちゃんは『しょうがないな』とでもいう様な笑みを浮かべて、私に言ってくれる。
「加藤もまだまだ青いね」
【その他: 名 台 詞 】
”突き放せない。誓ったんだ、傍にいるって。
あの子が俺を必要としなくなるその日まで。
壊れそうなほどに泣いてすがったこの女の子の為に、生きて行こうって。”
”誰よりも、君を想う。それこそが揺るぎない 真実。
・・・居るよ。永遠はここに居る。いつも君を想ってる。
会いたかったよ”
私と同じ境遇のクレノさんが、これからストーリーの中でどういう生き方を選ぶのか、純粋に興味がある。これからのフルバが、もっと楽しみだ。
【関連】
□フルバレビュー
フルーツバスケット17巻。--------裸足で渡る赤い河
口直しにフルバ最新刊--------しぎ戦記
□フルバサイト様
密かに通いつめております。だって、続きが知りたくて。
フルバ(本誌)の感想を、詳細に書いてくださっています。
あまやどり